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色弱の人にしか見えない色覚テストとは?原因・種類・見え方を徹底解説

By Chloe Ramirez |

色弱の人にしか見えない色覚テストとは?原因・種類・見え方を徹底解説

色覚テストの画像(石原式色覚検査表)

「色弱の人にしか見えない」というフレーズで紹介される色覚テストの画像を、SNSやネットで一度は目にしたことがあるだろう。丸い点の集合の中に数字や図形が隠されている——あの不思議な絵のことだ。正常な色覚を持つ人には何も見えないのに、色弱の人にはくっきりと数字が浮かび上がる。なぜそんなことが起きるのか。色弱とはそもそも何なのか。この記事では、その仕組みから日常生活への影響、さらに自分でできるセルフチェックの方法まで、ひとつずつ丁寧にほぐして説明する。

色弱とは何か——「色が見えない」という誤解

まず大前提として、多くの人が「色弱=白黒にしか見えない」と勘違いしている。実際は全く違う。先天赤緑色覚異常の多くは、白黒に近く見えるのではなく、多くの色が茶色に近い色で見えている状態だ。空の青さはほぼそのままに、緑の葉が茶色がかって見えたり、赤やオレンジが似た色調に溶け合ったりする。

色弱の人の見え方は、細かな色の判断が通常より難しくなっているのが特徴で、色弱は3つの型に分類され、光の三原色である赤・緑・青のどの色に対して弱いかで分けられる。それぞれの型で「見分けにくい色の組み合わせ」が異なる点が重要だ。

色覚異常とは、正常とされる他の大勢の人とは色が異なって見えてしまう・感じてしまう状態のことをいい、そのため色の区別がつきにくい場合があり、日常生活に支障をきたしてしまう可能性がある。ただし程度には個人差があり、軽度の場合は自分自身が気づかないまま成人を迎えるケースも珍しくない。

日本にどれくらいいるのか——意外と身近な数字

「自分の周りには絶対いない」と思っている人も多い。しかし実態はかなり違う。先天色覚異常は日本人男性の20人に1人(5%)、日本人女性の500人に1人(0.2%)といわれている。男性20人に1人というのは、クラスや職場にほぼ確実に一人はいる計算になる。

総務省統計局の調査によると、平成27年9月の日本人男性の人口は6090万人で、男性の304.5万人が色覚異常者と算出でき、これは京都市の人口のおよそ2倍にあたる。この数字を見れば、色弱は決してレアなケースではないことがわかる。

なぜ男性に多いのか。女の子の場合は、母親と父親から1つずつX染色体を受け継ぎ、両方のX染色体に色覚異常の遺伝子があると色覚異常になる。しかし男の子の場合は、父親からはY染色体を受け継ぐので、母親から受け継いだX染色体に色覚異常の遺伝子があるとそのまま発症する。そのため男の子のほうが多い。

色弱の3つの型——P型・D型・T型の違い

色弱の型(P型・D型・T型)の見え方比較

色弱にはいくつかの種類がある。大きく分けると赤系・緑系・青系の3タイプで、それぞれ日常の見え方がかなり異なる。

P型の人は赤、D型の人は緑を感じる色覚が弱いため、多くの場合は赤色と緑色、黄色と黄緑色の見分けがつきにくく、同じ色として認識してしまう。細かく色分けされた色鉛筆やクレヨンは判別できなくなることもあり、このことで幼少期に色覚異常を疑う場合も多い。

一方、青系が弱いT型はより希少だ。トリタノピア(T型)の人には青い錐体細胞がなく、青は緑に見え、黄色は紫か薄茶色に見える。また完全に色の識別ができない単色覚(モノクロマシー)も存在するが、こちらは非常にまれなケースとなる。

P型とD型では、いちごやオレンジが緑色に見え、一瞬見ただけでは果物の識別が困難。T型ではブルーベリーの色が緑色に見え、全体的に赤みが強いように感じられる。同じ「色弱」という言葉でも、型が違えば見える世界はまるで別物になる。

色弱の人にしか見えない色覚テスト——仕組みを理解する

SNSでよく拡散される「色弱の人にしか見えない数字」。あれは逆石原式テストと呼ばれる考え方を応用したものだ。通常の石原式テストでは、色覚が正常な人にだけ数字が見え、色弱の人には見えないように設計されている。逆テストはその逆で、特定の色の見え方をする人にだけ浮かび上がる図形が仕込まれている。

最も有名な色覚検査の一つは、石原忍博士によって設計された石原色彩検査で、それぞれに色付きのドットの円が含まれる一連のプレートを使用する。これらのドットの中では、数字や図形が別の色で隠されているため、色覚異常の人にとってはその色を識別するのが困難で、正常な色覚を持つ人は数字や形を簡単に識別できる。

「色弱の人にしか見えない」テストが成立する理由は、色覚のメカニズムにある。人間の目には赤、緑、青の色を感じる細胞があり、この働きによってあらゆる色を見分けている。この色を感じる細胞がうまく働かない人は、色を見分けることが難しくなる。つまり、正常色覚の人には「同じ色」に見えるドットの集合でも、特定の錐体細胞の反応が異なる色弱の人には別の明暗パターンとして認識されるため、隠れた図形が見えてしまうのだ。

これは視覚の「フィルターの違い」とも言える。たとえば赤と緑の錐体が同じ反応をしてしまう人は、赤と緑を「似た色」として処理する。その結果、赤と緑で構成されたパターンの中から、輝度差だけで図形を浮かび上がらせることができる。逆テストはこの特性を利用して作られている。

正式な色覚検査の種類——石原式からパネルD-15まで

石原式色覚検査表とパネルD-15テスト

正式な色覚検査は眼科で受けることができる。主に使われる検査ツールはいくつかある。

先天色覚異常の検査には、通常、色覚異常があると見分けにくい数色の組み合わせで文字や図形が描かれた石原色覚検査表やSPP標準色覚検査表第1部先天異常用でスクリーニングを行う。色覚検査表で異常が疑われたら、少しずつ色の違う色票を似ている順に並べてもらうパネルD-15という検査で、異常の程度が強度か弱度かを判定する。

色覚異常の型と程度の最終診断にはアノマロスコープという特殊な器械が用いられるが、この器械を備えている施設は数少なく、通常は眼科でも色覚検査表とパネルD-15で判定している。

また、オンラインの色覚検査では赤と緑色が見えにくいタイプ、青と黄色が見えにくいタイプなど症状はさまざまで、検査を受ける際はカラーレンズを外し、画面の明るさを上げた状態で行うことで精度が高まる。ただし、オンラインテストはあくまで目安であり、正確な診断には眼科の受診が必要だ。

先天性と後天性——見落とされがちな「大人になってから気づく」ケース

先天性の色弱は遺伝によるもので男性に多く見られる症状で、現在の医療では治療できない。一方で後天性の色弱は、進行を抑えたり治療したりできる場合もあるが、急激な視力の低下を伴い、最悪の場合には失明に至る危険性もある。

先天色覚異常は特定の色を識別しにくいことがあり、日常生活に支障を来すこともあるが、自分では気づきにくく、学校や職場で受けた色覚検査で発見されて驚く人も少なくない。

特に問題になるのが、自覚がないまま成長した場合だ。学校保健安全法施行規則によると、色覚の検査は平成15年から健康診断の必須項目から削除されていた。そのため、自身の色覚特性を知らないまま卒業を迎えた生徒が、就職活動の際に初めて色覚による就業規制に直面するという実態も報告されている。これを受けて平成26年には制度が一部改正され、検査が再び推奨されるようになった。

日常生活での具体的な困りごと

色弱の人が日々どんな場面で困るのかは、当事者でないとなかなか想像しにくい。駅の改札口の進入可否が赤色で表示されていると文字が沈んで見えてしまったり、非常ボタンが分かりづらかったり、仕事で使う資料やスライドで使われた色の違いが分からなかったりと、さまざまな場面で不便を感じることがある。

また色覚異常者は食物の鮮度の判断、車や壁、化粧品など身の回りの色を選ぶ時に悩むことも多い。一方で、色弱であることが必ずしも不利に働くわけではない。ゴッホやウィリアム・ターナーなどの有名な画家も色覚異常だったといわれており、個性ととらえて伸ばしていくことも一つの生き方だ。

カラーユニバーサルデザインという解決策

カラーユニバーサルデザインの配慮例

個人の努力だけに委ねるのではなく、社会全体でデザインを変えていこうという動きがある。それがカラーユニバーサルデザイン(CUD)だ。近年、情報を伝える側の人は、色覚異常の人だけでなく色覚機能が弱くなる高齢者にも配慮した「カラーユニバーサルデザイン」を使用することが推奨されている。

具体的にはどんな工夫があるのか。色弱の人にも見分けやすい色を選び、模様をつける、境を線で囲む、数字を書き込むなど、色以外でも見分けることができるような工夫が有効とされている。

プレゼンテーション用に作成した資料で、目立つように使用した赤が、色弱の人にはかえって見えづらいこともある。学校現場でも変化が起きている。色の見え方が違う生徒がいることを学校の先生が意識し、色の名前で答えさせる問題は出さない、緑の黒板に赤のチョークを使わないなど、配慮するようになってきた。

自分でできる色覚セルフチェックの方法

気になる人がまず試せるのが、オンラインのセルフチェックだ。自分の色覚が正常かどうかを知りたい場合、インターネットで簡単にテストができるサイトがいくつかあり、中には眼科医の監修のもとで行えるテストもあり、安全に試すことができる。このようなテストで少しでも見え方の異変や色の違和感を感じた場合は、早めに専門の眼科医の診断を受けることが推奨される。

ただし、セルフチェックにはいくつか注意点がある。画面の色調設定や周囲の照明環境が結果に影響するため、カラーレンズのメガネをしていたら外し、裸眼またはカラーの入っていないコンタクトレンズ・度付きのメガネでのみ検査することが望ましい。また画面の明るさを上げることで色を正確に認識しやすくなる。

もし子どもに色覚異常が疑われるとき。先天色覚異常は生まれつきの疾患なので、生まれてからずっと同じ色の見え方をしているため、それが他人と違うとは思っていない。全部が同じ色で見えている訳ではないので、彼らにとって色が似ていて識別が難しい色でもゆっくり見れば判別できたり、きちんと色の認識もある。焦らず、ゆっくりと専門医への相談を検討してほしい。

色弱と向き合うために知っておきたいこと

「色弱の人にしか見えない色覚テスト」は、単なるネットのネタではない。その背後には、日本人男性の20人に1人が抱える視覚特性の問題、そして長らく社会に認知されてこなかった日常の不便さが隠れている。先天色覚異常に対する治療は未だ確立されていないため、自身の色覚の異常を認識したうえで、不便・問題が起こらないように工夫して生活していくことが現状の基本となる。ただし、色覚異常について正しく知っておくことで、他の方と同じように生活することは可能だ。

大切なのは、色弱を「欠陥」として捉えないことだ。見え方が違うということは、世界の見え方が違うということ。テストの数字が見えるか見えないかよりも、その人がどんな色の世界に生きているのかを想像することの方が、ずっと重要かもしれない。色覚テストを入口に、自分自身の目と、周りの人の目について、少し立ち止まって考えてみてほしい。